〈主な登場人物>

・谷野洋介・
共働きの両親とはすれ違い気味で、放任主義の家庭で育った。干渉されない代わりに期待もされず、大学選びすら友人の動向に合わせるほど受動的であったが、学業面ではそこそこ優秀で順当な進路を歩んでいた。
内面に空虚さを抱えており、一度「これこそが真理だ」と信じ込んだものに対しては、異常なまでの心酔と行動力を見せる。プロパガンダや強い言葉に感化されやすく、純粋さゆえの危うさを孕んでいる。

・早乙女湊斗・
家族関係の詳細は不明。組織の主宰者。かつては一流企業に勤めるエリートサラリーマンだったが、組織の末端で平社員として埋もれる現実に「自分はこんなところで終わる人間ではない」と強い不満を抱き、入社後わずか数年で退職をした過去を持つ。
圧倒的なカリスマ性と、他者の心の隙間を正確に見抜く観察眼の持ち主であり、「自分は特別な存在である」という肥大化したプライドを信仰という形で昇華させた。本人にとっては救済ではなく、自分を無視した社会への復讐(搾取)を目的としている。

・荻野諭・
会社経営者である父と、専業主婦の母の間に生まれる。家庭内は典型的な家父長制であり、進路から結婚に至るまですべてを父親に決定されるという絶対的な権力下で育った。また、母からも過剰な干渉を受け続けており、常に両親の顔色を窺わざるを得ない状況から、内向的な大人しい子どもで叱られるようなことも決してなかった
有名私立の一貫校に通い、勉強もスポーツも努力せずとも常に上位の成績を収める秀才であったが、高校時代に初恋をしたクラスメイトの女子から受けた決定的な拒絶により、自己の存在価値を完全に見失う。
大学進学後は授業にも出ず、留年を繰り返す自堕落な生活を送る中で、自らの存在意義を求めて早乙女が主宰する組織へと傾倒していく。